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学部長メッセージ

上智大学法学部で学ぶということ
法学部長
桑原 勇進

 上智大学法学部のページを訪れてくださったみなさま、ようこそお出でくださいました。ここを訪れたのは、おそらく受験を考えている方々でしょう。

 ご存じかもしれませんが、上智大学法学部には、法律学科、国際関係法学科、地球環境法学科の3つの学科があります。法律学科はオーソドックスな法学教育の場で、弁護士等の法曹をはじめ、いわゆる法律家を育成することを念頭に置いた教育が行われます(実際には、民間企業に就職する学生が多いのですが)。他大学と大きく異なる本学法学部の特色は、国際関係法学科及び地球環境法学科という学科が設置されていることでしょう。

 唐突なようですが、わたしたちは、ロシアによるウクライナ侵略、米トランプ政権が引き起こす国際摩擦等、世界で起きている理不尽な出来事を目撃している最中です。「大国は何をしてもいいのだろうか、国際ルールはどうなっているのだろうか?」と疑問に思うはずです。そして、こういった問題が起きないようにする、または解決することに資する人材として将来活躍したい、と考える人もいるでしょう。国際関係法学科は、そうしたグローバルな視点で活躍する法的人材の育成を目指した教育が行われる場です。そのため、国際関係に関する多数の法律科目や国際政治に関する科目がカリキュラムの中に配置されています。経済面で世界を股にかけた活躍をして見たい、という方も、国際関係法学科の選択を考えてみてください。

 次に環境問題に目を向けてみましょう。環境問題といってもいろいろですが、ここでは一つだけ、気候変動を例に挙げます。世界各国で気候変動訴訟といわれる訴訟が起こされています。2019年にオランダの最高裁判所は、オランダ政府に対し2020年末までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減することを命ずる判決を下しました。2021年には、ドイツの連邦憲法裁判所が、(その当時の)ドイツ政府の温室効果ガス排出削減政策は不十分で国民の基本権を侵害するものだ、という判断を示しました。実は日本でも気候変動訴訟がいくつか起こされていますが、裁判の様相はまるで違っていて、同様の判断が裁判所によって示されることが期待できる状況にはありません。なぜそうなるのでしょうか。日本の法制にはなにか改善すべき点があるのではないでしょうか。地球環境法学科は、環境問題の解決を(制度設計も含めて)法的な観点から図ることに資する人材を育成することを目的とした教育を行いますが、そのために、各国の環境法の比較等を含む多数の環境法関連科目が置かれています。

 以上のように、3つの学科にはそれぞれの特徴がありますが、どれか一つに関心を絞れない、国際問題にも環境問題にも関心があるし、将来弁護士になる夢も捨てきれない、という方も少なくないでしょう。でもあまり心配いりません。学科間の垣根が低いからです。法学部の科目は、基本的には、学科に関係なく自由に履修することができます。わたしの授業にも、3つの学科の学生が参加しています。

 わたしからのメッセージはここで終わります。受験を考えている方にとって多少は役に立ったでしょうか。上智大学法学部の受験先、進路先として考えていただければ幸いです。